自動車出張整備・修理・カー用品取付:Seibii(セイビー )

自動車出張整備Seibii(セイビー )
オンライン・オンデマンドの自動車出張整備Seibii(セイビー )

平成最後で令和最初のゴールデンウィークとなった2019年の4月27日(土)から5月6日(月)の10連休、僕たち2人はオフィス(と言っても、友人が経営するスタートアップのオフィスを間借りしているだけなのだが)で黙々とサービスのリリースに向けて作業をしていた。

2018年の8月から準備を進めていた事業のPivot(事業の転換)を行うことを決めたのが4月、そこから集中して簡易なプロダクトをリリースした。

オンライン・オンデマンドの自動車出張整備Seibii(セイビー )だ。自動車整備士のUberといえばイメージは沸きやすいかもしれない。

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Seibii(セイビー)はオンライン、オンデマンドの車の出張整備です。お客様の都合の良い時間と場所に国家資格を有するSeibii(セイビー)の整備士がお伺いし、駐車場で作業致します。透明性があり、安価な価格で、どこよりもクオリティーの高いサービスを提供します。もう、車のメンテナンスに必要以上の時間とお金を費やす時代は終...

自動車整備産業は、社会に必須な巨大産業だが、直面する且つ差し迫った課題が多い。

僕たちは、その課題に真正面から取り組むことで、短期的には、①整備士の所得を上げる ②ディーラーやモータス(独立系整備工場)の業務適正化を計る ③カーオーナー(個人・法人)を整備の時間的浪費・物理的ストレス・不信感と不満足から解放する、という三方良しのビジネスの構築を、Seibii(セイビー )を通して目指している。

中期的には、MaaS(Mobility as a Service)やCASE(Connected:インターネット常時接続、Autonomous:自動運転化、Shared/Service:シェア/サービス化、Electric:電動化)が訪れる新モビリティの安全・安心を支える、新しい形の整備業を作っていきたい。いわば、それを来たる大本命と捉え、その大波がくる前にポジションを取っておきたいという考えだ。

本エントリーでは、その取っ掛かりとして取り組む、オンライン・オンデマンドの出張整備・修理・パーツ取付 Seibii(セイビー )の発想をまとめる。

自動車整備産業

自動車の整備産業と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?

斜陽?3K?車検?余計な出費?

ポジティブなイメージを持っていない人が多いのが実態だろう。でも実際には、自動車の安全を担保する非常に重要な産業だ。いわば車のお医者さんとも言えるわけで、社会に必須なのだ。

市場規模は5.5兆円、それを支える自動車整備工場は約90,000工場と、コンビニや歯医者よりも数が多い。

そして、その自動車整備産業で働く従事者は54万人、内、33万人強が国家資格を有する整備士だ。

上記数字(90,0000の整備工場に33万人)という数値は、国から認証を受けた工場とそこで働く整備士の数であり、認証のないガレージ(*認証が無い = 違法ではなく、「分解整備」など特定の整備の実施ができないだけ)やそこで働く整備士の数は含まれていない。従い、実際にはもっと多くの人たちが従事する産業だ。また、整備士に至っては、資格を有しながらも、業界から離れていった人たちも多く、実際のはもっと沢山の整備士(国家資格保持者)が存在する。

自動車整備産業の課題

上記の通り、社会に必須で、且つ、巨大な産業なわけだが、実態は課題が噴出しており、崩壊寸前とさえ言える。他のレガシー産業同様に、集客、顧客管理、業務管理、部品・備品調達のほとんどがIT化されておらず、人手不足も叫ばれて久しい。国も人手不足を重要な課題と認識しており、2019年4月からの5年間で7,000人の外国人労働者を、自動車整備業特定技能1号として受け入れる予定になっている。

しかし、もっと本質的な問題である「整備士の国家資格を取得した若手の離職率が高いこと」が正面から議論されていない。ことにもっと注目するべきだと思っている。これこそが、根源的、本質的に対処しないといけない課題ではないだろうか?

苦労して取得した整備資格(国家資格)なのに、この業界の構造的課題が原因で、職業としての整備士は辞めてしまう。

彼らは、本来的に、車を触ることが好きな人が整備士になっており、車が好き、ということは変わらない。なので、整備士を辞めてしまった人たちも、全く別の職につきつつも、趣味として車いじりを続けていたり、家族・友人の車の整備を引き受けたりしている若者が多い。

僕はこれを、人手不足という課題に対する、解決策のヒントになると捉えている。

整備士が直面している課題

組織に雇用されている整備士という前提で、3つの課題が挙げられる。

  1. 低い給与
  2. 労働環境の悪さ
  3. 整備以外の業務

例えば、オートバックスの整備士特集、とてもカッコ良く作られているが、そこで働く整備士の視点からすると、実態との乖離が甚だしい。(特定の企業をdisりたいのではありません)

AUTOBACS GUYS|AUTOBACS.COM
情熱、笑顔、そしてクルマ愛 職業、クルマを愛する人を、愛する仕事 信念、プロフェッショナル&フレンドリーでいること 大事にしていること、情熱、笑顔、そしてクルマ愛 いい整備士がいる

低い給与

ネットで検索するとたくさんの記事が出てくるが、整備士の給与は安い。時給換算にすると、東京で1,000円前後、地方だと800円とかそんなものだ。

この給与水準が、どうあがいても上げられないのであれば、手の打ちようがない。

しかし、僕たちは、これは構造上の問題によるものと認識している。

整備・修理を行った際の請求項目は①部品・備品代 + ②工賃の2つに分類される。

①を置いておき、②は技術料、つまり、弁護士でいうアワリーレート(時間単価)だ。この工賃は、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会が基準を定めており、一般論としては全国おしなべて8,000円/時間程度だ。この工賃は、本質的には整備を行った整備士に帰属するものといえるが、上述の通り、整備士の時給は1,000円にも満たないのが実際だ。

では、この差額がどこに消えているのか。

僕たちは、これを、整備工場やディーラーが抱える設備や建屋、加えて、整備とは直接的に関係のない営業要員や事務要員などのオーバーヘッドコスト(人件費)に利益が取られてしまっていると理解している。

労働環境の悪さ

慢性的な残業が常態化してしまっており、サービス残業も(2019年において)当たり前のこととして残っている現場が多い。

一部の大手ディーラーでは、働き方改革の結果、整備士に残業をさせることができなくなり、結果的に下請けの子会社や街の整備工場に仕事が振られ、そちらの残業が増えているという実態もある。

他にも、パワハラの問題がある。例えば新入社員は:

  • リフト(車を持ち上げる設備)を使うことが許されず、ジャッキを使わないといけない(逆に言えばリフトなくてもできるということだが)
  • 電動トルクレンチ(タイヤを外す際に使用)を使えない

などといったようにだ。正直、しょうもないことをしているもんだと思ってしまう。

整備以外の業務

自動車整備士の資格を取る人たちは、言うまでもなく、自動車を直したりいじったりするのが好きで、職業を選んだ人たちだ。

にも関わらず、整備には直接関係のない商品の販売ノルマ(保険、携帯電話、空気清浄機や、宝石を売らなければいけなかったと言う話まである)を抱えさせられている。営業が苦手(というか、それをしたくなくて整備士になった人もいる)ということもあり、ノルマを達成できずに自爆する(自己費用でノルマを達成する)整備士もざらにいるほどだ。

また、ディーラーに整備士として勤めた場合、多くのケースで10年目で整備の現場から離れ、監督者やフロント(客対応)に回されることが多い。このタイミングで、好きな自動車の整備実務やメカいじりにたずさわれる業種(例えば、リビルトなどの部品メーカー)や自動車解体業に転職してしまう人も多い。

整備工場が抱える課題

ディーラーや個別整備工場(モータス)によって事情は異なるが、一般論として抽象化すると以下の通りの課題があげられる。

  1. 働き手である整備士不足 -> 上述「整備士が直面している課題」と同じ
  2. 整備士の離職率の高さ(特に若手) -> 上述「整備士が直面している課題」と同じ
  3. 業務プロセスの非効率
  4. 働き方改革と仕事量の需給ギャップ(特にディーラーの場合)
  5. 高度化する自動車への対応(独立整備工場の場合)
  6. 後継者問題(独立整備工場の場合)

業務プロセスの非効率

街の整備工場の前に立って観察してみるとわかるが、確かに、車が入庫していて、スペースがないことが多い。ただ、人が足りないと言う割には、入庫している車を放置して、駄弁っている整備士の姿が目に付く。

サボっているのか?そうではない。部品が到着するのを待っているのだ。

後述するが、業務プロセスとして、整備・修理が必要な車が入庫したのちに、必要な部品・備品を特定し、発注。部品備品が到着してから整備・修理に取り掛かる。なので、整備・修理の際に、車を預けなければならないケースが多いのだ。

ここで、考えなければいけないのは、事前に必要な部品・備品を特定し、注文しておくことはできないのか、だ。

僕たちの答えは「できる」だ。

技術論として、自動車の種類(車台番号)を特定できれば、自動的に必要な部品の特定は可能であり、それがデータベース化/オープンソース化されていないだけの話だ。

働き方改革と仕事量の需給ギャップ

サービス残業が蔓延していた整備業界のとって、働き方改革によるサービス残業の低減は良いニュースだ。

でも、かなりの副作用を伴っている。特に、正規国産車ディーラーでは、入庫する車の量が増えている。一方で、残業を減らす為に、業務を子会社や下請けの整備工場に流さざるをえず、業務を受けている整備工場で残業が増えてしまっているのだ。

また、ディーラーに務める整備士の給与も高くなく、残業をこなして何とかなっていた整備士も多い。従い、結果として整備士の所得が減り、また、副業を禁止しているディーラーが多いことから首が回らなくなってしまっているのだ。

高度化する自動車への対応

自動車の高度化が進むにつれて、資金力や人材確保に難を抱える街の整備工場は最新の車の整備・修理に対応できず、ディーラーに仕事を回すといった本末転倒な事態も発生している。

後継者問題

この問題は、自動車整備産業に限らず、であるのだが、経営者の高齢化や後継問題で、特に街の整備工場では廃業が進んでいる。

整備工場として国の認可を受ける為に、設備投資を行なっている。後継者はいないいしても、設備は以前使えるものであり、日本中に散らばる90,000もの整備工場をネットワーク化し、シェア化していくことは、win winな取り組みと考えている。

車保有者(カーオーナー)のUI/UX

整備業界にとってのお客様は、カーオーナーに他ならない。しかし、想像してもらえばお分かりの通り、お客様のUI/UXは、2019年とは思えないほどに最悪だ。

主に2つに集約される

  1. 物理的/時間的な浪費
  2. 不透明な価格設定による不信感と不満足

物理的/時間的な浪費

世の中には、時間を費やして、物理的に移動することそのものに価値があるものが沢山ある。例えば、旅行は貴重な休みを費やして、物理的に移動することそのものに価値がある。人気のラーメン屋さんで並ぶこともそうだろう。

自動車関連でいえば、新車購入がそれに当たる。休日を使って、家族総出でディーラーに行く。そこで色々な車を見たり試乗したりすることは、家族にとって楽しいイベントに違いない。

さて、整備はどうか。残念ながら真逆の体験だ。一般のカーオーナーにとって、整備の為に貴重な休みを費やし、物理的に離れたところにあるディーラーや整備工場、あるいはカー用品店に行くことに楽しみはないだろう。さらに悪いことに、待たされることが殆どで、一日仕事になることはざらだ。

ここで考えてみてほしい。今は、インターネットもスマホもある時代だ。CASEやMAASも控えている。面倒なことに時間を費やすことが本当に不可避なのだろうか?

不透明な価格設定による不信感と不満足

自動車に整備や修理が必要なとき、メールや電話で問い合わせて見積もりを出してくれるところは無い。本当に無いのだ。口を揃えて「車を持ってきて貰わないとわからない」と回答される。

それで、止むを得ず車をディーラーや整備工場に持って行くわけだが、蓋を開けると、殆どの人が想定していた以上に費用がかかってしまう経験をしている。

つまり、入り口から、「整備や修理に休日の時間を使い、物理的に移動させられていること」に不満を持っているのに、その作業が終了した後には、「出費が想定よりも嵩んだ」という更に悪い体験をして、自宅へ戻るのだ。

世の中には、gooピットや相見積もりを取れるネットサービスが数多あるが、どれもこれも整備・修理に関しては機能していない。試してみればわかる。

これは何故なのか。

例えば、トヨタのランドクルーザーがあるとして、そのランドクルーザーにはエンジンを始動する為のスターターという電装部品が積まれているが、このスターターの種類が同じランドクルーザーでも年式やモデルによって異なる。従い、適切な部品を適合させるためには、車を確認して分厚いカタログを見なけれないけない、とう説明だ。しかし、実際にはデータで符合させることは可能であり、誰もが使えるデータベースとUIを装備すれば、事前の診断と見積もり固定は可能になるはずだ。

次に、かーオーナーが正しく車の異常を把握していないため、持って来て見てみないと真の原因がわからない、と言う説明だ。これは正しい。しかし「とにかくまずは持って来てから」と言うUXは確実に改善できる。

3つ目が、知識の差による収益機会だ。ほとんどのカーオーナーは車に詳しくない。整備が必要と言われても、何が何だかさっぱり分からないのが普通だろう。逆に言えば、車を持って来てもらえれば、(言い方は悪いが)過剰整備をしやすく、サービス提供側にとっては事前に費用固定するよりも収益機会が生まれるのだ。

三方良しのビジネスを目指して

上述の課題は、インタネットやテクノロジーを活用することで、仕組みを変え、解決可能だと考えいる。

1つ目に、職人である整備士を組織から切り離すこと。500以上ある整備のメニューの7割程度は大きな整備を必要とせず、従い、物理的に、整備工場に車を持ってくる必要性はない。また、整備そのものは職人技であることから、組織に所属する理由も無いのだ。本当に設備が必要な整備修理を整備工場で行い、できる作業はどこでもやる。整備工場をシェア化し、整備士をネットワーク化・流動化させるイメージだ。(5記載の通り)

2つ目に、整備士の専門性と整備メニューをデジタルに合致させること。お医者さんに、内科・外科・小児科・眼科とあるように、整備士にも国産車が得意、外国車が得意、軽整備が得意、エンジン周りが得意、足回りが得意、など得手不得手がある。問題は、これらがデータベース化されておらず、整備士であるというだけで、全ての業務が無条件で割り当てられる。ここをデジタルに符号させられれば、整備士の単価もあげられるはずだ。

3つ目に、整備士毎がお客様と直接対話し、評価される仕組みを作ること。例えば、既存のディーラーでは、お客様と接するのは基本的にフロントや営業だ。整備士は行った整備内容を機械的に説明する程度に止まる。しかし、本来的には整備士こそが、お客様と必要な整備の推奨や説明を行い、信頼関係を築いて行く立場にあるべきである。整備士とカーオーナーの間の壁を取っ払うことで、整備士が実力に沿って正当に評価され、整備士個人にお客様が付くという好循環を作ることができる。

4つ目に、整備士がお客様の都合に合わせて、お客様のもとへ行くこと。1記載の通り、整備工場でなければ整備できない理由がない。IT、スマホの時代に、それを活用しない手はない。

5つ目に、ディーラーや整備工場の設備シェア化による共生を計ること。物理的にも、分解整備という法律上の制限でも、やはり整備工場は必要となる。お客様の視点にたてば、どんな整備メニューでもワンストップで対応してくれることにバリューがあることは論を俟たない。他方の整備工場は、後継者不足などにより廃業に向かう工場も少なくなく、そういった設備のシェア化は1つの解になるはずだ。

整備士は、その技術や能力を正当にお客様から評価され、所得が上がる。ユーザーは無駄な時間を費用を費やす必要がなくなる。整備業から離れてしまった整備士をマーケットに呼び戻す。ディーラーや街の整備工場と分業し、共生する。そして、事業/ビジネスとしてSeibii(セイビー )が成長する。

そんな世界と三方良しの事業を僕たちのプロダクト、Seibii(セイビー )で実現していきたい。

自動車整備産業の未来

MaaS(Mobility as a Service)やCASE(Connected:インターネット常時接続、Autonomous:自動運転化、Shared/Service:シェア/サービス化、Electric:電動化)が訪れた時に、自動車整備はどう変わって行くのか。

人が乗らない自動車が街を常に走っているとしたら。自動車がPCのソフトウェアのようになり、常時アップデートされる未来がきたら。

それに対応する整備産業のあり方に具体的な絵姿を持っている人はまだいない。僕たちは、誰よりも早くその答えをだし、フロントランナーでありたいと思っている。

その一歩目として、整備産業が直面する目の前の課題を、インターネットやモバイルを所与のものとしてゼロからあるべき姿を描き、実現することで、真正面から徹底的に解決する。その先に、次の未来を実現できるものと思っている。

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